【先進医療③】さらに実施メニューご紹介の続きです!
みなさん、こんにちは。アートラボ渋谷クリニック院長の太田です。
今日は前回に引き続き、当院で実施している「先進医療」の内容についてお話しします。
先進医療自体のことについては①の記事を見てみてくださいね。
再掲になりますが、当院で実施している先進医療は以下です。
- ヒアルロン酸を用いた生理学的精子選択術(PICSI)
- 強拡大顕微鏡を用いた形態学的精子選択術(IMSI)
- 膜構造を用いた生理学的精子選択術 (ザイモートスパームセパレーター)
- 子宮内膜刺激術(SEET法)
- 子宮内膜擦過術(子宮内膜スクラッチ)
- 子宮内膜受容能検査(ERA/ER peak)
- 子宮内フローラ検査
今日は「子宮内膜受容能検査(ERA/ER peak)」と「子宮内フローラ検査」の内容をご紹介します。
●子宮内膜受容能検査(ERA/ER peak)
胚移植は月経周期のどの時期でも行なって良いわけではなく、「着床の窓(WOI)」と呼ばれる胚が子宮に着床できる最適なタイミングがあります。この着床の窓が閉じている時に胚移植を行なっても着床せず、着床の窓が開いている時期に行う必要があり、患者様によってはこの着床の窓がずれてしまっている場合があります。
子宮内膜受容能検査(ERA/ER Peak)は、着床の窓が開いている時期かどうかを子宮内膜の遺伝子の発現パターンを調べることで、子宮内膜が胚の着床に最適な状態にあるかを確認するための検査です。移植と同様のスケジュールでホルモン補充を行い、本来移植を行うタイミングで子宮内膜の一部を採取します。検査自体は細い管を子宮内へ挿入し、子宮内膜の組織を採取します。軽い痛みや処置後に少し出血することもありますが、その後の妊娠に影響はありません。また、痛みが強い場合、局所麻酔を行うこともあります。
検査の結果次第で、次周期以降行う移植の日程を調整します。
※検査準備として通常のホルモン補充を行うため、検査費用の他に薬剤と血液検査、超音波検査の費用がかかります。
●子宮内フローラ検査
子宮内フローラ検査は、子宮内の細菌の状態を調べる検査です。近年の研究で、この子宮内の細菌環境が妊娠・出産に影響があることがわかってきました。子宮内はラクトバチルス・クリスパスタ菌やガセリ菌など善玉菌の割合が90%以上の状態が望ましく、この善玉菌は病原菌である悪玉菌の増殖を抑えて子宮が妊娠しやすい環境を保つ役割を果たします。子宮内フローラのバランスが整うことで悪玉菌による炎症を抑え流産や早産を予防します。また、免疫細胞の攻撃を弱め、着床・妊娠継続しやすくなると言われています。
検査は、月経18~25日ごろの排卵後の高温期に行い、細いカテーテルを子宮腔内に挿入して子宮内膜の一部を吸引し採取します。検査結果によっては抗生物質での治療や、子宮内の環境を改善するため乳酸菌サプリメントを内服し更に膣に使用します。
※善玉菌のイメージ
全3回に渡り、当院で実施している先進医療についてお話しいたしました。
またこれらの先進医療に関する費用の一部を負担してくれる自治体の制度もあります。
例えば東京都では、保険診療とセットで実施した先進医療について、費用の10分の7、15万円を上限に助成されます。(要申請・回数や年齢等の条件あり)
その他市区町村単位でも個別の助成金制度がありますので、お住まいの自治体について最新情報ぜひ調べてみてください。わかりづらい場合は電話や窓口で問い合わせてみましょう。
皆様の状態に合わせて、またご希望に沿って実施いただけるよう、診察の際に相談しながら決めていきましょう。