【先進医療①】保険診療との併用が可能!実施メニューもご紹介

みなさん、こんにちは。アートラボ渋谷クリニック院長の太田です。

6月も終わりに近づき、今年も上半期が過ぎようとしています。時の流れは本当に早いですね。

妊活においても時間はとても大切なので、ぜひ迷ったら早めに相談に来てくださいね。

今日は不妊治療における「先進医療」についてお話ししようと思います。

まず先進医療とは、厚生労働省が認可した新しい治療法や検査法のことで、まだ保険適用にはなっていませんが(自由診療)、将来的に保険適用が検討される可能性がある医療技術のことです。

本来保険診療と自由診療の混合診療はできませんが、先進医療については一定の条件下で保険診療と自由診療の併用が認められています。

不妊治療においても、22年4月以降に保険適用(一定条件あり)になった「一般不妊治療」と「生殖医療補助」と合わせて、オプションとして自費で先進医療を実施することが可能です。

当院で実施している先進医療は以下です。

  • ヒアルロン酸を用いた生理学的精子選択術(PICSI)
  • 強拡大顕微鏡を用いた形態学的精子選択術(IMSI)
  • 膜構造を用いた生理学的精子選択術 (ザイモートスパームセパレーター)
  • 子宮内膜刺激術(SEET法)
  • 子宮内膜擦過術(子宮内膜スクラッチ)
  • 子宮内膜受容能検査(ERA/ER peak)
  • 子宮内フローラ検査

その中で今日は顕微授精の際に実施可能な、精子の選択に関する「PICSI」と「IMSI」、「ザイモートスパームセパレーター」の内容をご紹介します。

●ヒアルロン酸を用いた生理学的精子選択術(PICSI)

従来の顕微授精(ICSI)では形態的に良好な精子を選んで卵子に注入しますが、ヒアルロン酸成熟精子選別(PICSI)ではヒアルロン酸を含んだ培地を用いて、成熟度の高い精子を選別します。ヒアルロン酸は自然な卵胞液の成分であり、成熟した健全な精子のみがこの酸に結合する性質があるため、この特性を利用して質の高い精子を選別できるのです。質の良い精子を選別することで、受精率や妊娠率の向上が見込めると言われています。

●強拡大顕微鏡を用いた形態学的精子選択術(IMSI)

通常の顕微鏡(400倍)よりもはるかに高い倍率(1200倍)を用いて精子を観察することで、微細な形態的異常や空胞の無い精子を選別する技術です。正常な形態の精子を選別することで、受精率やその後の妊娠率が向上する可能性があります。

●膜構造を用いた生理学的精子選択術 (ザイモートスパームセパレーター)

ザイモートスパームセパレーターという装置を使って、精子を選別するの質を向上させるための技術です。精子を調整する段階で使用し、本来の女性の体内で起こっている自然な精子選別過程を再現することで、高品質な精子を効率的に選別できると言われています。従来法では、遠心分離を行い精子選別をしていましたが、その際精子同士がぶつかることでダメージを受けたり、DNAが損傷するリスクがありました。ザイモートスパームセパレーターを導入することでそれらのリスクを最大限減らし、運動性のある良好な精子を抽出することができます。

次回のブログで、

・子宮内膜刺激術(SEET法)

・子宮内膜擦過術(子宮内膜スクラッチ)

についてもご紹介します。

またこれらの先進医療に関する費用の一部を負担してくれる自治体の制度もあります。例えば東京都では、保険診療とセットで実施した先進医療について、費用の10分の7、15万円を上限に助成されます。(要申請・回数や年齢等の条件あり)

その他市区町村単位でも個別の助成金制度がありますので、お住まいの自治体について最新情報ぜひ調べてみてください。わかりづらい場合は電話や窓口で問い合わせてみましょう。

皆様の状態に合わせて、またご希望に沿って実施いただけるよう、診察の際に相談しながら決めていきましょう。

当院の料金表はこちらになります。先進医療の適応メニューも記載していますので、参考にしてみてください。

感想やご質問などありましたら、SNSやお問い合わせページからぜひお気軽にご連絡いただけたら嬉しいです。

では、また次回お会いしましょう!

アートラボ渋谷クリニック院長 太田岳晴