【着床前診断】PGTってどんなこと??
みなさん、こんにちは。アートラボ渋谷クリニック院長の太田です。
10月に入りました。まだまだ暑い日もありますが、日の入りも早くなり、秋の気配が感じられるようになってきましたね。
今日は「着床前診断」という、専門的な検査をテーマにします。妊活を始めたばかりの方はあまり馴染みがないかもしれませんが、一般的な情報としてお話ししますね。
●出生前診断と着床前診断(PGT)とは?
出生前診断とは、以下の表のような種類があります。
一方、着床前診断(PGT Preimplatiton Genetic Testing)は、体外受精によって得られた胚を、子宮に移植する前に遺伝的異常を調べる方法です。
受精卵の染色体異常は見た目やグレードではわからないため、専門機関で胚の染色体を調べることで妊娠・出産の成功率を高めます。
着床前診断(PGT)には、以下3つの種類があります。
- PGT-A(PGT for Aneuploidy):染色体の異数性(本数の異常)を調べる
- PGT-M(PGT for Monogenic/single gene defect):遺伝性の病気の原因となるの遺伝異常の検出する
- PGT-SR(PGT for Structural Rearrangemen):染色体の構造異常を検査する
PGTの流れとしては、胚盤胞に到達した胚の栄養外胚葉(TE)から5~10個の細胞を採取し、専門機関で検査を行います。染色体異常や遺伝子疾患の有無を調べ、検査の結果、異常がないと確認された胚を子宮に移植します。
PGTを実施する多くの人が該当するものはPGT-Aになります。PGT-Aの検査結果が正常だった胚を移植した妊娠率は60~70%程度と報告されています。
正常なヒトの細胞は46本の染色体を持っていますが、染色体数に異常(トリソミーやモノソミー等、例としてダウン症は21トリソミーといわれ21番目の染色体が3本ある)があると、着床しない、または着床しても流産してしまうということがわかっています。流産の最大の原因は染色体数の異常です。殆どの染色体異常の胚は流産しますが、21番、18番、13番の染色体が3本ある胚は妊娠・出生する可能性があります。流産は繰り返すと、流産の手術操作により子宮が傷つき癒着を起こしたり、内膜が薄くなり不妊につながるなど問題が起きやすくなります。着床前診断を行い流産を防ぐことで、妊娠・出産時のトラブルを減らすことができる方法でもあります。
一方で、この検査は100%の精度が保証されているものではありません。その理由は、PGT-Aの検査にも限界があり、あくまでも染色体の本数の異常(異数性)を調べており、染色体の本数が正常でも遺伝子の小さな異常までは調べることができないためです。検査の際に、わずかではありますが胚にダメージを与えるリスクも存在します。
着床前診断、中でもPGT-Aは、染色体異常によるリスクを減らし、妊娠の成功率を高めるために広く使用されています。流産の経験があるカップルや、高齢出産を希望する人にとって有力な選択肢である尚、PGT-Aは先天的な奇形や病気の診断はできないため健康な赤ちゃんが産まれることを保証する検査ではありません。
※着床前診断の一般的な情報を提供しています。
次回以降は、妊活のおける【スクリーニング検査】についてお話ししようと思っています。
感想やご質問などありましたら、SNSやお問い合わせページ(リンク)からぜひお気軽にご連絡いただけたら嬉しいです。
では、また次回お会いしましょう!
アートラボ渋谷クリニック院長 太田岳晴
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